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ワクチンで予防できる病気▼

ヒブ(インフルエンザ桿菌b型)と肺炎球菌


〝ヒブと肺炎球菌〟は、多くの健康な方のノド・鼻にも住みついている細菌です。(ヒブと冬場に流行するインフルエンザは無関係です) その一方で、免疫力の低い乳幼児に、肺炎・難治性中耳炎・細菌性髄膜炎を起こすこともあります。特に細菌性髄膜炎は恐ろしい病気で、発症した数%が死亡し、3割程度が脳に後遺症を残します。ワクチンが無かった時代、国内では毎年800人程度がヒブ・肺炎球菌による細菌性髄膜炎を発症しました。

予防ワクチンについて
生後2ヶ月以降に3回連続してワクチンを接種し、1歳以降に追加接種をします。生後2ヶ月が近づいたら、医療機関に連絡しワクチンの予約を入れましょう。細菌性髄膜炎は主に赤ちゃんに発症する病気なので、なるべく早めの接種が望まれます。成長と共に自力での免疫がつくため、基本的には5歳以上で接種不要です。

B型肝炎



非常に感染力が強く、わずかな体液(唾液・涙など)でも感染します。小さな子どもが感染すると大部分がウイルス保持者(=キャリア)となり、1-2割が将来的に肝硬変→肝癌に移行すると考えられています。一方、成人で初感染すると主に急性肝炎を発症しますが、1割程度は劇症肝炎となり死亡します。国内では年間2万人が感染しているようです。

予防ワクチンについて
ワクチンを連続して3回接種します。WHO(世界保健機構)では、『全ての国の全ての赤ちゃん対象にB型肝炎ワクチンを接種するよう』勧告を出しています。国内でもようやく、H28.4.1以降生まれのお子さん対象に定期接種化されることが決定しました。しかし定期接種の対象から外れたお子さんも、なるべくなら自費での接種をお勧めします。年齢制限は無いので、希望する方は全員接種が可能です。ただ、幼いほどワクチンの効果が高いと考えられています。

ロタ胃腸炎


ウイルス性胃腸炎(いわゆる胃腸カゼまたは嘔吐下痢症)の原因となるウイルスは数多くありますが、最も重症化しやすいのがロタウイルスです (ノロウイルスは2番手) 。感染力が非常に強く、どんなに衛生面で注意を払っても5歳までには必ず発症します。1-2割のお子さんでは脱水のため点滴が必要となり、入院となることも珍しくありません。

予防ワクチンについて
飲むタイプのロタワクチンを接種します。任意接種であり、医療機関により多少値段が異なります。2回服用タイプ(ロタリックス)と3回服用タイプ(ロタテック)の2種類がありますが、効果はほぼ同じと考えられています。発症自体を防ぐのではなく、発症しても軽症ですむことを目的としたワクチンです。副作用の関係で、生後5-7ヶ月以内に接種しないといけません。ヒブ・肺炎球菌と同時に生後2ヶ月で開始する事が一般的です。

ジフテリア・破傷風・百日咳・不活化ポリオ


百日咳に感染すると、小さな赤ちゃんでは突然呼吸が止まり死亡することがあります。破傷風は傷口から感染し、全身の筋肉が痙攣して呼吸不全のため死亡します。ジフテリアは喉が腫れ上がり、窒息して死亡します。ポリオは主に手足が麻痺し一生残ります。これらのワクチンが定期接種化される前には、国内で毎年数千人程度の方がこうした病気で死亡していました。

予防ワクチンについて
生後3ヶ月以降に3回連続して(Ⅰ期初回)、4種混合ワクチンを接種します。1年後 (Ⅰ期追加)と小6時(Ⅱ期)に追加接種を行います。色々な事情で接種が乱れた場合でも、Ⅰ期は7歳半まで無料接種できます。一生を通じて免疫力が必要ですが、年齢と共に抗体が弱まるため、成人以降も10年毎の追加接種(もちろん自費)が望ましいといわれます。

結核


『過去の病気』というイメージを持つ方も多いと思いますが、実は先進国の中では日本は非常に結核発症率が高く、国内で年間2万人の患者が発生しています。乳幼児の発症は年間50人程度で数は多くないものの、全身の重症型タイプになりやすく、命に関わることが少なくありません。

予防ワクチンについて
新城市では生後6ヶ月頃にBCGワクチンを集団接種します。1歳過ぎると有料になるので注意が必要です。BCGワクチンをうつことで成人型の肺結核が予防できるかどうか、実はよく分かっていません。しかし、乳幼児の全身重症型結核を防ぐ効果はかなり高いと考えられています。

麻疹(はしか)・風疹(三日ばしか)


麻疹は、戦前は『命定め』といわれていたほど死亡率の高い病気で、栄養状態の良い現在の先進国でも死亡率は0.1%程度と考えられています。ワクチンを接種しないと、いつか必ず発症します。
風疹は麻疹とは全く別の病気で、発症した本人は症状が軽いことが多いのですが、妊婦さんに感染すると赤ちゃんに障害(先天性風疹症候群)が発生する事が知られています。

予防ワクチンについて
ワクチンを1歳過ぎと年長さん時に2回接種します。ワクチンの効果は非常に高く、2回接種後に病気を発症することは非常にまれです。

水痘(水ぼうそう)


小学生以上が感染すると重症になりやすいといわれています。幼児期では比較的軽くすむことが多いのですが、それでも1週間は園をお休みしないといけません。また皮膚の弱い子だと、水疱の跡がずっと残ってしまうケースもあります。感染力が非常に強く、感染したらほぼ100%発症します。
予防ワクチンについて
1回接種でも重症化予防はそれなりに期待できますが、発症しないことを目的とするなら2回接種が望ましいです。定期接種の対象は3歳未満ですが、財源との兼ね合いで3歳で線引きされただけで、医学的根拠はありません。3歳以上のお子さんも是非自費で接種をお勧めします。2回目接種は1回目から3ヶ月以上開けます。

おたふくかぜ


すごく軽い子(気づかれずに終わってしまう)から、重症な子(40℃の高熱が続く・痛くて水分も摂れず点滴に通う)まで、症状の幅が非常に広いのが特徴です。年齢の大きい子ほど重症になりやすい傾向はありますが、もちろん例外も多いです。

予防ワクチンについて
1回接種でも重症化予防はそれなりに期待できますが、発症しないことを目的とするなら2回接種が望ましいです。なお、2回目接種は一般的には就学前と記載されていることが多いですが、地域で流行している場合は3ヶ月以上開けて早めの接種が望ましいと考えます。現時点では全て自費での接種になります。

日本脳炎


春~秋にかけて蚊を介して感染します。ワクチンが存在しなかった時代には年間数千人が発症し亡くなったといわれています。

予防ワクチンについて
3歳代で2回(Ⅰ期初回)、4歳代で1回(Ⅰ期追加)、さらに5年後(Ⅱ期)に計4回ワクチンを接種します。東南アジアなど流行地域に転居する場合は、生後6ヶ月から接種が可能です。

インフルエンザ


『普通のカゼと比べ、高熱が長く続き重症感が強い』と今までは考えられていましたが、迅速検査が普及した結果、カゼと全く見分けの付かない軽症例も多いことが分かってきました。一方で、インフルエンザ脳症(死亡あるいは重症な後遺症の原因となる)が国内で年間100-200人程度発症しています。残念ながら、インフルエンザに対する充分有効なワクチンは現時点で開発されていません。

予防ワクチンについて
インフルエンザのワクチンは、麻疹や水痘などの他のワクチンと比べると効果は明らかに低いです。全国で統計を取ると、ワクチンを接種した集団と接種していない集団を比べると、接種した集団の方がインフルエンザ発症率が低いのは確実なようです。ただ、発症しても軽く済んだり、あるいは脳症を防ぐ効果があるのかどうかは、実はよく分かっていません。『それだったら、ワクチン代も馬鹿にならないし、インフルエンザになったら早めに受診してタミフルやイナビル使えばいいや』と考えてしまいがちですが、タミフルやイナビルはウイルスの増殖を抑える薬なので、即効性はありません。早めに使ったからといって、インフルエンザ脳症を防ぐ効果があるかどうかもよく分かっていません。

“わりと元気だけど、インフルエンザっぽい”子どもを保護者判断で休校(園)させることが、現時点で最も効果のある手段の一つに思えますが、現実的には難しいですよね。

監修 新城市民病院小児科 影山里実医師






Posted by サクラ at 22:37 │教えりん医療